子宮口が開き始めてる!

ジャンヌ・ド・フランドルで定期検診。
前日学校の図書館でめずらしく勉強したせいか、あまり調子が良くない。なんとなくぼんやりとしたまま寝坊して、慌てて病院に向かう。約束の9時20分をちょうど回った頃受付に駆け込むと、いつものセクレタリアのPascalineさん、「あー、あなた8時20分よ!」ちなみに、病院のランデヴーで大いに待たされることはあっても、私が遅刻したのはこれが初めて。やってしまったなあ。
今日の担当sage femmeはMme Perin。初めての方。検診室のドアが開いたら、マダムダット、と若い人に呼ばれた。おしっこをまだ採っていなかったので、言い訳しておトイレへ。8時20分からずっと呼んでて下さったのね。申し訳ないっす。慌ててトイレから出たら、別の人の診察が先に始まっていた。待っているとPascalineさんが来て、出産費用について、あなたの保険の現状だとこれ一度全額支払わなきゃいけないのは大変だから、もう一度確認しなさいとのこと。確かに!100%返ってくるとはいっても、帝王切開の場合で6000ユーロ以上、もし支払わなくてはならないとなるとかなり辛い。
Mme Perinは短髪のさっぱりしたおばちゃん→おばあちゃんで、独特の上目遣いがちょっとムッシュー入ってる、気さくな感じの方だった。横に座ってた研修医さんは、いかにも日本の医学部にもいそうな、マジメそうな、折り目正しい感じの、肌のきれいな女の子で、Mme Perinが戻ってくるまで、立て続けに私に質問をする。それが何ともマジメで真剣なものだから、こっちも気恥ずかしくもありつつ、精一杯答えてしまう。「コントラクションは・・??それは、一日に何回くらい??」私が詰まると身を乗り出す感じが、なんとも若い。Mme perinはいいところに戻ってきて、さばけた雰囲気になった。あらまあ、順調そうなのに、なんでこんなに頻繁に病院に呼ばれてるのかしらね・・?たぶん、コントラクションのせいです・・。Mme Stazackはこないだ、赤ちゃんがまだ下の方にいて、入口はちょっと開いてるけれど子宮口はまだ閉じてるって言ってました・・。コントラクション、今はどう?結構あります。いつも張った感じ。大丈夫、それはあなたが初産婦だからよ、問題ないわ。さ、観てみましょう。と、ずっとセ・パ・グラーヴな乗りで診察台へ向かう。あなたは、なんていうか、neige flottant(?)みたいな妊婦さんね〜と手をちらちらさせながら言うので、ん?よくわからないです?どういう意味ですか?と聞くと、フランスではそういう言い回しがあるのよ〜。とのこと。雪の結晶?みたいなことを言ってたけど、未だにわからずじまい。何かふわふわした感じなのかな?血圧を測り、子宮の大きさを測り、赤ちゃんの心音を聞く。問題なし。
と、Mme Perinの顔つきがsage femmeの伝家の宝刀、2本指の触診の途中で変わった。ははあ、これか!あなた、子宮口が開き始めてるわよ。え??診察台を降りて椅子に座ると、2枚の処方箋を渡された。はい、こっちが薬局、こっちが看護婦さん。看護婦さんには自分で電話するのよ!今日、明日と2回。何が?単語がわからないでいると、おしりに注射を打つジェスチャーをして、ピキュール(注射)!と言う。えっ・・注射??なぜまた突然。血の気が引き、とたんに子供がえりして、え、注射・・・したくないです・・とボソッと言うと、横の研修医さんが真剣な顔で「赤ちゃんのためよ!」と言う。はい;;;としか答えようがない。どうも、説明がわからないまま。何の注射かも、のみ込めないまま。そのままMme Perinに連れられて今度は陣痛計の部屋へ。ん?私は急に何だかピンチな妊婦っぽくなってきた。Mme Perinはその部屋のマダムに、私は次の検診があるからあとよろしくみたいなことを頼んで、私には終わったら血液検査に行くように、注射きちんと打つように言い残して、行ってしまった。二本のベルトをお腹に巻いて、子宮収縮の様子が地震計みたいな感じで紙にプリントアウトされるようになっているらしい。赤ちゃんの心音がずっと聞こえるようになっている。私はちょっと疲れてきてモーローとしていたが、何だかずいぶん長いことそのままでほっぽられていた。赤ちゃんも緊張しているのか高揚しているのか、随分ぐるんぐるんと動いて、心臓もばくばくしていた。自分では、こういう数値に表れるようなコントラクションではないだろうな、と思っていたから、あまり結果は心配していなかった。その間、さっきの保険の関係で、ソーシャルアシスタントのマダムがやってくる。Pascalineさんと、このマダムと、そしてどうも私のつたないフランス語はかみ合っていなかったようで、彼女どの程度わかってるかわからないから、「次回はフランス語わかる人連れてきなさい」と言われてしまう。とほほ。確かにこの日は、私としても話せてなかったな。陣痛計から開放される頃には、もうお昼近くになっていた。その後採血をし、ソーシャルアシスタントのマダムともう一度お話。彼女から保険会社に電話してくれた。でも、どうも、何が何だかよくわからないまま。マテルニテのアテスタシオンをもう一度送ってくれるとのことで、それを待って話をしましょう、ということになった。あー、長くかかった。
この日から、私の寝たきり妊婦生活が事実上始まることになるのだが、比較的順調に来てたので、晴天の霹靂、とはいえ、この前一週間くらい、お腹の張りが引かなくて、なんとなく調子がすぐれないままだったので、本人としてはあーやっぱりな、というところ半分だ。