Mme Cremadesの母親教室③

午後2時からマダム・クレマデスのところで呼吸法のレッスン。今までは私たち夫婦だけだったけど、この日は私は一人、あとモロッコ人の女性が一緒だった。呼吸法、というので、ヒ・ヒ・フーみたいなことをやるのかなと思ったら、陣痛の説明から始まった。陣痛時の痛みについて、ポジティブに考えるというやつ。いわゆるソフロロジー式分娩法ってやつだな。まずは陣痛が訪れてから、分娩室で出産に至るまでの様子と呼吸するときのイメージの仕方を言葉で一通り説明してもらう。痛みが訪れるたびに、あなたは前に進むのです、子宮口が開くのです、息を吐き出すときに、水紋がひろがる感じ、花が開く様子をイメージしてください。息と一緒に、痛みも一緒に吐き出す感じです、苦しいのは長くは続きません、といった具合。そして、赤ちゃんが産まれる。さあ、赤ちゃんにとって、お腹の中と外の世界と、大きく違うのはどんなことでしょう?潤ったところ、暗いところから乾いた世界、明るい世界へ、など、五感全ての感覚にとって大きな変化があるのですから、お母さんは、最初のうち、なるべく腕に抱いて、肌をなでて、子宮内の環境に近づけてあげましょう。なるほど。その後、実際に分娩室に置いてあるようなクッションにもたれて、呼吸法の練習。さらに横になって目を閉じ、イメージトレーニング。これはヨガの「完全弛緩」のレッスンみたいな感じ。リラックスできるようなBGMを流しながら、おそらくマダムは陣痛の間隔を時間で測っていたのだと思うけれど、「さあ、再び陣痛がやってきました、先程の呼吸を10回行ないます、吸ってーー」とか、「あなたは山の頂上を目指しています、どの道を通るかは、誰にもわかりません、陣痛のたびに、頂上に近づきます、周りの景色を眺めながら、ゆっくり、あるいは急に、ゴールに向かいます」とか、「安息の時が訪れました、しばしの休息です、自然な呼吸で、体をリラックスさせて下さい」などという流れを、繰り返すこと数十分。こんなに頻繁に痛くなったり楽になったりするものかー、と驚きつつ、まだ実感がわかないでいた。この日は、出産Xデーはまだ当分先のことじゃないかという気がした。ふと横を見ると、モロッコ人の女性は寝息をたてていた・・・。ちょっと笑えた。